法定相続情報証明制度って何?新しい制度の活用で相続手続が”らくらく”に!
小野市のあじさい法務事務所、行政書士の岡田です。
さて、今日は法定相続情報証明制度について解説します!
法定相続情報証明制度は平成29年にスタートしたまだまだ新しい制度ですが、
相続手続きにかかる時間と手間を大幅に減らすことができるとても画期的な制度です。
制度の概要、メリット・デメリット、相続手続での利用方法など詳しくお伝えします!
目次
- ○ 1、法定相続情報証明制度が創設された経緯
- ・法定相続情報証明制度で手続の負担軽減を!
- ○ 2、法定相続情報証明制度のメリット
- ・①法定相続情報一覧図は無料で発行できる!
- ・②信頼・信用できる「法務局お墨付きの証明書」
- ・③銀行手続にかかる時間・手間を大幅に削減
- ○ 3、法定相続情報証明制度のデメリット
- ・①財産が少ない場合は逆に申請が手間になる…
- ・②法定相続情報一覧図は複雑な方式で作成必要!
- ○ 4、まとめ
1、法定相続情報証明制度が創設された経緯
誰かが亡くなり相続が開始した場合に、最初に進める作業が相続人の調査です!
相続人の調査は、故人が生まてから亡くなるまでの戸籍(除籍、改製原戸籍)を集める方法により行います。
そして、収集した戸籍を読み解いて「誰が相続人になるのか」を特定します。
このように収集した戸籍一式を利用して、故人の預貯金の解約手続きなど各種の相続手続きを進めていきます。
預貯金の解約手続きにあたっては、銀行ごとに「自分が相続人である」ことを証明しなければなりません。
具体的には、銀行へ故人の戸籍一式(戸籍の束)を提出し、戸籍のチェック・相続人の確認をしてもらう必要があります。この戸籍チェックは銀行毎に受ける必要があり、相続人が手続を進めるにあたり大きな負担となっていました。
法定相続情報証明制度で手続の負担軽減を!
これまで課題だった上記のような相続手続の負担を減らす為、法定相続情報証明制度が創設されました。
法務局へ戸籍一式と法定相続情報(相続人を記載した関係図)を提出すると、
登記官が戸籍チェック・相続人を確定し、法務局の公印が入った「法定相続情報の一覧図」が発行されます。
この一覧図(A4用紙1枚)を戸籍一式の代わりとして、銀行の解約手続きなどに利用することができます。
一覧図1枚を銀行に提出するだけで、相続関係の証明ができ手続の時間を大幅に短縮することが可能です。
平成29年に始まったまだ新しい制度ですが、
相続税申告や年金手続きにも利用できるなど徐々に利用範囲は広がっています。
2、法定相続情報証明制度のメリット
法定相続情報証明制度は相続手続の負担を減らす、
という目的でスタートしましたので相続人にとっていくつものメリットがあります。
今回は、3つの観点からメリットをお伝えしていきます!
①法定相続情報一覧図は無料で発行できる!
法務局にて戸籍一式のチェック・相続人の確認を受けると
法定相続情報一覧図という「相続人の証明書」が発行されます。発行手数料は無料です。
さらに、何通でも無料で発行してもらえるので、例えば銀行が多数あるケースでは、
銀行の数だけ法定相続情報一覧図を取得してスピーディーに手続を進めることができます!
この法定相続情報証明制度ができる前は、
銀行ごとに戸籍一式を数セット用意するという相続人さんもいらっしゃいました。
戸籍(除籍、改製原戸籍)は1通450円や750円の手数料がかかり、
故人の戸籍一式を1セット揃えるだけで3000円~5000円程度の手数料がかかります。
これを何セットも用意すると、手数料だけで大きな負担になってしまいますね…
そんな費用面の負担は法定相続情報証明制度で解消しましょう!
法務局提出用に戸籍一式を1セット揃える必要はありますが、
一度、法定相続情報一覧図を取得すれば、何度も戸籍を取り直す必要はありません。
②信頼・信用できる「法務局お墨付きの証明書」
法定相続情報証明制度は、法務局が「故人の相続人は誰か」を証明する公的な制度です。
法務局は相続登記の処理をする国の行政機関であり、
いわば、戸籍や相続人をチェックするプロフェッショナル機関です。
もちろん、戸籍の不足や書類の記載ミスなどは厳しくチェックされます。
申請する側は細かい箇所まで気をつける必要があり大変ですが、
それだけ厳格な手続を経て発行されるので、信用度・信頼度が高いものになります!
ほとんどの金融機関では戸籍の代わりに法定相続情報一覧図を手続に使用でき、
また、相続税申告手続きにも利用できます!
法定相続情報一覧図は金融機関や税務署も信頼する「法務局お墨付きの証明書」ですので、
安心して相続手続きに利用することができますね!
③銀行手続にかかる時間・手間を大幅に削減
法定相続情報一覧図を最も有効活用できるのが金融機関の相続手続きです!
上の方で少し触れましたが銀行や証券会社などの相続手続きを進めるには、
まず「誰が相続人になるのか」を戸籍一式(戸籍の束)で証明する必要があります。
実際の手続では、
銀行窓口の職員や相続センターという専門部署に戸籍チェックをしてもらいます。
銀行の支店に出向き職員にチェックをお願いする場合、
戸籍のコピーや相続人の特定に時間がかかり、1社手続を進めるのに数時間かかるケースもあります。
法定相続情報証明制度ができる前は、
相続人は銀行で長い時間待つこととなり、銀行員も戸籍チェック業務に時間がかかり、
双方にとって相続手続きがスムーズに進まない原因となっていました。
このような相続手続きの時間・手間は、
法定相続情報一覧図の利用で大幅に削減することができます!
一覧図を提出すれば戸籍のコピーや相続人の特定に時間を割くことはありません。
最近では法定相続情報一覧図の提出を推奨している銀行もありますので、
相続人・金融機関双方にとってメリットの大きい制度と言えますね。
銀行手続が多数ある方は、法定相続一覧図を取得して効率的に手続を進めましょう!
3、法定相続情報証明制度のデメリット
ここまで、法定相続情報証明制度のメリットばかり挙げてきましたが、
一方でデメリットがあるのかも気になるところですよね!
基本的には相続手続を簡素化するための制度ですので、
制度を利用することで不利益があるという事はありません。
強いてデメリットを挙げるとすれば、以下の2つでしょうか。
①財産が少ない場合は逆に申請が手間になる…
例えば、財産がA銀行の預金1件だけという場合ですね。
こういうケースでは戸籍収集(相続人調査)が終わり次第、
戸籍一式をもって手続きをした方がより早く手続を済ませられるかもしれません。
法定相続情報一覧図は、法務局に書類を持参、又は、郵送して申請します。
持参・郵送申請どちらも相続人の見落としが無いか時間をかけてチェックされるので、
一覧図が発行されるまで申請から3日程度かかるケースが多いです
法務局が混雑している時期は1週間以上かかることも…。
財産の数が少ない場合には、法定相続情報証明制度の利用は不向きと言えますね。
それぞれの財産状況に応じて利用するかどうか検討頂きたいと思います。
②法定相続情報一覧図は複雑な方式で作成必要!
法定相続情報一覧図と似たもので相続関係説明図があります。
2つの書類は共通している部分もありますが、似て非なるものです!
法定相続情報一覧図と相続関係説明図の大きな違いは、
既に亡くなっている相続人を記載していいかという点です。
相続登記などに添付する相続関係説明図は、
様式は比較的自由で、既に亡くなっている人を記載しても問題ありません。
一方、法定相続情報一覧図には、既に亡くなっている人を記載してはいけません!
あくまで故人の相続発生時点で、存命の相続人だけを記載するというルールです。
少し厳しいように思いますが、
法定相続情報証明制度のルール通りに作成しないと申請不備で補正指示が入ります。
他にも細かい記載ルールがあるので、
法務局ホームページにある記載例をよく確認して作成しなければなりません!
4、まとめ
以上のとおり、法定相続情報証明制度について解説してきました。
制度の概要、メリット・デメリットなど挙げてきましたが、
相続手続きにかかる負担を軽減してくれる画期的な制度ではないでしょうか。
申請書類の作成には難しい部分もありますが、
行政書士などが作成し、代理申請することができます!
申請に必要な戸籍はご自身で収集して頂き、
法定相続情報一覧図の作成・申請だけ行政書士へご依頼頂くということも可能です。
当事務所ではお客様に収集頂いた戸籍のチェック作業と併せて、
法定相続情報一覧図の作成・申請をさせて頂いおります!
相続人多数など複雑なケースにも対応しておりますので、
相続手続きでお困りの方はお気軽にお問い合せください!
お問合せ・ご相談は→0794-70-7782(行政書士あじさい法務事務所)まで。
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